凡例

序文

本目録は国立音楽大学・楽器学資料館の所蔵楽器を収録したものである。楽器は名称や説明文のみでは実態を把握することが困難であるので、収録に際しては凡て実物写真を附した。
写真撮影に当っては楽器を可能な限り演奏されている状態に近く置き、奏者を前面から見る構図とした。
また、楽器の大きさを示す為に全長60cmの物指しを添えた(白黒写真のみ)。

楽器に関する記載事項は必要最小限に止め、Musical Instruments-A Comprehensive Dictionary.および、The New Grove Dictionary of Musical Instruments. に記載されている名称を優先的に用いることにより、両書からの必要事項の探索を可能にした。
収録は後述する楽器の体系付け(Systematics)に基き、楽器の振動体の形状によって次の6章に分けた。

  1. Massophone 立体(Massa)
  2. Cupophone 空洞の立体(Cupa)
  3. Clavophone 棒(Clava)
  4. Tabulophone 板(Tabula)
  5. Chordophone 弦(Chorda)
  6. Membranophone 膜(Membrana)

また、各章内では体系付けの第三項目である5種類の起振現象、即ち

  1. 衝撃 Percussion
  2. 摩擦 Friction
  3. はじく Plucking
  4. 気流による起振 Air current
  5. 電気的起振 Electronic oscillation

に従って配列し、同一の起振現象による楽器は形態別にまとめた。
当資料館では破損している所蔵楽器に対して、修理(repair)・修復(restore)及び保存(conservation)の三方法の処置をとっているが、このうち未修理の楽器は本目録への収録を差し控えた。

凡例

1.登録番号(Registered number)

登録番号は楽器が収蔵された時点に附されるもので、平成6年l1月末現在2031番迄が収録されている。このうち、一定の規格による 量産品と見なされる楽器が併存している場合は一点のみを収録し、他は登録番号のみを併記した。動物が身につける音具、戯音具および擬音具は『The Collection of musical instruments 2』に収録した。

2.体系番号(Systematic number)

体系番号は7桁で、各桁には以下に示す項目が該当する。

  • 第1桁 振動体の形状
  • 第2桁 振動体の材料
  • 第3桁 起振現象
  • 第4桁 起振方法
  • 第5桁 振動の転換
  • 第6桁 転換部の形状
  • 第7桁 転換部の材料                  (Systematicsの項参照)

3.名称(Name)

本目録に収録された楽器の名称には、Musical Instruments-A Comprehensive Dictionary(Sibyl Marcuse,1975)および、The New Grove Dictionary of Musical Instruments(Edited by Stanley Sadie,1984)に記載されているものを優先的に用い、各名称の末尾に (Marcuse)または (Grove)を附した。

  • Napura  Nupur (MarcuseおよびGroveで各名称の索引可能)
  • Trombita (MarcuseおよびGrove双方で索引可能)
  • Ranasringa (Marcuseのみで索引可能)
  • Zilli masa (Groveのみで索引可能)

尚、上掲2書に見当たらない楽器に関しては慣用されている総称を用いた。

4.地域名称(Regional name)

世界の諸民族が持つ楽器の名称はその語源に始まり、以後年代的、地域的な推移に従って変化しながら現在に至っており、この間のものを 凡て集めると一つの楽器に附された名称が数十に達することも稀ではない。これに加えて諸民族の楽器名が口一マ字に置き換えられる過程で生じる聞き取りと表 記の違いは無数と言ってよく、地域名称の凡てを網羅することは不可能である。
本目録に記載した地域名称の例は、その楽器が属する地域の国・公立博物館、資料館、研究機関等の出版物から、該当する楽器が実物写真または図版によって確認されたものに限られている。

5.地域表示(Region)

地域表示は原則として英語を用い、国名・州(省・県)名・都市名の順に記載し、次の国々については略称を用いた。

  • 朝鮮民主主義人民共和国 D.P.R.Korea (The Democratic People’s Republic of Korea)
  • 中華人民共和国 P.R.China (The People’s Republic of China)
  • 台湾 R.China (The Republic of China)
  • 大韓民国 R.Korea (The Republic of Korea)
  • イギリス U.K. (United Kingdom)
  • アメリカ合衆国 U.S.A. (The United States of America)

尚詳細な地域が不明な楽器に関しては次の地域区分に従って表示した。

  • 東アジア (E.Asia) [日本・朝鮮半島・中国・モンゴル]
  • インド (lndia) [インド・ネパール・バングラデシュ]
  • 東南アジア (S.E.Asia) [インドシナ半島・インドネシア・フィリピン・メラネシア・パプア ニユーギニア]
  • オセアニア (0ceania) [オーストラリア・ニュージーランド・ヴァヌアツ・タヒチ]
  • 旧ソヴィエト連邦共和国 (Former U.S.S.R.)
  • 西南アジア (S.W.Asia) [パキスタン・アフガニスタン・イラン・イラク・アラビア半島・トルコ・ギリシア]
  • ヨーロツパ (Europe)
  • 北アメリカ (N.America)
  • アフリカ (Africa)
  • 南アメリカ (S.America) [メキシコ以南]

6.製作者(Maker)

製作者に関しては個人名の他、工場名、会社名、取扱店等も記入した。

7.年代(Date)

推定年代にはc.(circa)を附し、世紀の表示にはC.(Century)を用いた。また購入時に新品であった楽器は製作者が不明であっても購入年を製作年と見なした。

8.備考(Note)

備考には主として次の事項を記載した。

  • 音域 例、Soprano,Alt等
  • 音名 「音名表参照」
  • 構造 例、Unfretted,Historical construction等
  • 複製品 特定の楽器が複製されているものについては元の楽器の製作者名と年代をMod.(Mode1)の表示と共に記載し、其の他についてはReproductionとのみ表示した。
  • 修復 楽器が大幅に修復された場合には、修復者または修復が行われた機関名(例,K.C.M[国立音楽大学])を記入した。